2011年5月15日日曜日

次回の読書会は5月19日(木曜日)です

 現代社会研究会(現社研)会員の皆さん、一昨日の読書会(テキストは堤未果『ルポ 貧困大陸アメリカ』)では、お疲れ様でした。

 「暴走型市場原理主義」(by 堤未果)はいかに国民の生活を破壊するのか? アメリカン・ドリームに乗って社会上層へと上昇しているときはよいけれど、一度でも健康を害したりすれば、ワーキング・プアにまた転落してしまうという社会のあり様が、軍・官・財・報(報道)・医によっていかに支えられているのか? そして、オバマ大統領の変節に見られるように、なぜアメリカ合州国は「国民皆保険」が導入されないのか? ・・・などなど、読書会の参加者からさまざまな論点や意見がでました。活発なディスカッションになったのではないでしょうか。

 さて、次回も引き続き読書会をおこないます。テキストは大塚久雄著『社会科学における人間』です。詳細は下記のとおりです。この本には興味があったけれどひとりで読みきる自信のない方、あるいは、すでに読んでいるが議論を深めてさらに自分の視野を広げたいという方など、大歓迎です。

●日時;5月19日(木曜日)18時00分~20時30分
●場所;現社研の部室(キャンパスプラザB312 〔B棟 3階〕)

●テキスト:『社会科学における人間』(岩波新書〔黄版11〕 大塚久雄著 800円+税)
●取扱う範囲:序論・Ⅰ・Ⅱ冒頭から110ページまで)〔後半は次々回にて取り上げます〕

●参加費:無料(ただし、テキストは図書館か書店にてご自分で入手してください)

会員はもちろん、4月の講演会&学習会に参加された新入生の方や、初めてこのブログを読んだ方も、ご関心のある方、ご自由に参加ください(なお、現社研は二~四年生や大学院生、留学生も大歓迎です)。

(テキストのカバーの紹介文より)
<経済学が成立ちうるのは、認識主体のみでなく認識対象としても、経済の世界で合理的に行動する人間類型の存在を前提としてのことである、デフォウの「ロビンソン物語」にそうした経済人の原型を見出した著者は、マルクスの「資本論」やウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を通してそのことを確認しようとする。>

本書の著者である大塚久雄(1907年~1996年)は、代表作『近代欧州経済史序説』などで著名の経済史家です。その歴史観は「大塚史学」とも呼ばれる独特のもので、敗戦後の日本において経済史の範囲を超えて、社会の民主化と国民経済形成を求める時流に合致し、一世を風靡しました。詳しくは、『近代欧州経済史入門』(講談社学術文庫)に当たってください。

その大塚が、本書において、カール・マルクスやマックス・ウェーバーなどに準拠しながら、現代社会科学と人間論との関係の解明に挑戦します。ここで、大塚は次のような問題設定をします。すなわち、「社会科学における理論的思考、つまり社会科学的理論を構成して、それによって社会現象を整序し把握していこうとする、理論的思考のなかで、人間がどういうふうに位置づけられ、関連づけられ、そしてどのように取り扱われているのか」と。詳しくは当日の報告で触れたいと思いますが、上記の問題設定を問うかたちで、「そもそも社会科学とはなんぞや」という根源的な問題に迫っていきます。つまり、本書は、社会科学の平易かつ最良の入門書であるばかりでなく、マルクスやウェーバーなど社会科学のスーパースターたちにおける社会認識の骨格を把握することができるものでもあります。

「現社研って何?」という方から、4月の現社研の新入生歓迎企画には都合が悪くて参加できなかった方にも、新入生歓迎企画に一度参加したことがある方にも、広く参加を呼びかけます。ふるっての参加お待ちしております。

【文責:飯島】