2011年5月2日月曜日

次回の学習会は5月13日(金曜日)です。

 現代社会研究会(現社研)会員の皆さん、4月の新入生歓迎イベントでは、お疲れ様です。パンフレット作成から、ビラまき、イベント準備、イベント本番そして懇親会など、盛りだくさんでしたね。

 さて、5月に入り、現社研は平常どおりの活動に戻ります。さらに、お互い切磋琢磨していきましょう。

 次回は読書会です。取り上げるテキストは堤未果著『ルポ 貧困大陸アメリカ』(岩波新書)です。詳細は下記のとおりです。この本には興味があるけれどもひとりで読み切る自信のない方、あるいは、すでに読んでいるが議論を深めてさらに自分の視野を広げたいという方、さらに、この本の存在は知らなかったけれどもタイトルから興味をもった方など、大歓迎です。

日時;5月13日(金曜日)18時00分~20時30分

場所;現社研の部室(キャンパスプラザB312 〔B棟 3階〕)

テキスト:『ルポ 貧困大陸アメリカ』(岩波新書 堤未果著 700円+税)

参加費:無料(ただし、テキストは図書館か書店にてご自分で入手してください)

 会員はもちろん、4月の講演会&学習会に参加された新入生の方や、初めてこのブログを読んだ方も、ご関心のある方、ご自由にご参加ください(なお、現社研は二~四年生や大学院生、留学生なども大歓迎です)。開始時間は18時00分からですので、5限の授業が終ってから駒場キャンパス内にある現社研の部室に向かえば、間に合います。よろしくご検討ほどお願いします。

 (テキストのカバーの紹介文より)
 「貧困層は最貧困層へ、中流の人々も尋常ならざるペースで貧困層へと転落していく。急激に進む社会の二極化の足元で何が起きているのか。追いやられる人々の肉声を通して、その現状を報告する。弱者を食いものにし一部の富者が潤ってゆくという世界構造の中で、それでもあきらめず、この流れの抵抗しようとする人々の「新しい戦略」とは何か。」

 本書は、GDP世界1位の超大国アメリカが、その内部において、ほんの一部の富者と大多数の貧者とに二極化していくカラクリを追ったものです。教育、医療、戦争まで、現場で何か起きているのか、そしてどこに向かおうとしているのか。著者の堤氏は、その背後に「極端な民営化」があると説きます。

 例えば、アメリカの児童に広がる肥満や偏食など食卓の“危機”があります。その原因を、親の教育のあり方などの精神論にただひたすら求めるのではありません。学校給食という巨大マーケットに群がるファースト・チェーンなどの巨大企業や、「民営化」の旗印のもとで「無料―割引給食プログラム」を通じて巨大企業の参入を唯々諾々と受け入れてしまう行政など、そのあり方を問題視していきます。そして、「肥満=偏食という単純な図の向こう側には、根深い貧困の現状が横たわっている」と分析します。「この国の肥満児童増加は、貧困層に対する政府の切捨て政策の結果なのです。」という、あるアメリカ人市民の言葉は印象的です。

 そして、日本も、同じ資本主義国として、アメリカに出遅れながらも「市場原理主義」の荒波に飲まれようとしています。そのような資本主義国・日本に暮すわれわれにとって、資本主義の”総本山”であるアメリカの姿を”対岸の火事”だとして済ますわけにはいかないでしょう。明日は我が身なのです(もうすでに、”火の粉”をかぶっているのかもしれませんが)。

 今回の報告では、テキスト(『ルポ 貧困大国アメリカ』)に準拠しながらも、それを超えて、このテキストに書かれている現状をもたらす背景や原因などについても、議論する予定です。つまり、アメリカで起きている出来事は、日本やヨーロッパなどの資本主義国とも共通な性格を持っているという点に焦点を当てていきます。具体的には、19世紀のイギリスの状況と21世紀のアメリカの状況との共通点を明らかにするために、F・エンゲルスの『イギリスにおける労働者階級の状態』(岩波文庫、新日本出版など)を同時に取り上げて、比較してみたいと考えています。

 「現社研って何?」という方から、4月の現社研の新入生歓迎企画には都合が悪くて参加できなかった方にも、新入生歓迎企画に一度参加したことがある方にも、広く参加を呼びかけます。ふるっての参加お待ちしております。

【文責:飯島】